キビンゴ・コーヒーウォッシングステーションは、1986年にカヤンザ県カヤンザ地区に設立されました。この地域はナイル川の水源地として知られており、標高1893メートルの場所にウェットミルが建てられています。ウォッシングステーションは、川を渡るための大きな丸太の橋が特徴で、周囲には河川の浸食を防ぐために葦(アシ)が植えられています。この「葦」を意味する現地語「キビンゴ」がステーションの名前の由来です。
キビンゴ・ウォッシングステーションには、周辺の18集落から約3500人のファーマーが生産したコーヒーが集まります。このステーションは、COE(カップ・オブ・エクセレンス)でも毎年受賞し、特に2017年には1位を獲得しました。そのため、高い標高から生まれる素晴らしい風味と安定した品質が世界中で注目されています。
GREENCOの取り組み
キビンゴがコーヒーの品質向上に取り組み、数々の評価を得てきた背景には、運営母体である現地のエクスポーター、GREENCOの存在があります。GREENCOは2015年に設立されたスペシャルティコーヒーに特化したエクスポーターで、現在カヤンザに8つ、ンゴジに5つの計13のウォッシングステーションを所有しており、ブルンジのスペシャルティコーヒー業界をリードする存在です。
スイス資本のGREENCOにとって、ブルンジのコーヒーは最も複雑かつエキゾチックなコーヒーです。同社は、ブルンジのコーヒーをより高品質にし、世界中に広めるためにエクスポーターを設立しました。また、世界でも最貧国とされるブルンジにおいて、コーヒーを通じて未来を繋げていきたいという願いも持っています。
農家は毎年のコーヒー生産に依存しており、彼らの生計を支えるため、GREENCOは高品質なコーヒーの生産をサポートしています。これにより、農家が安定した収入を得られるよう支援しています。
ファーマーと二人三脚の取り組み
キビンゴ・ウォッシングステーションが高品質なコーヒーを実現してきた要因の一つに、適切なチェリーの評価体制があります。農家が手で収穫し、自転車で持ち込むチェリーは、まず水の入った樽に入れられ、浮いてくる未熟なチェリー(フローター)の確認と除去が行われます。その後、チェリーは選別テーブルで再度手作業で選別され、フローター以外の未熟チェリーも取り除かれます。これらの2つのチェックを経た後、最終的な計量が行われ、ウォッシングステーションの担当者による品質チェックを通過したチェリーのみが取引される仕組みです。
このような厳格な品質管理体制により、高品質なコーヒーに対するプレミアムが保証されるだけでなく、ファーマー自身の品質に対する意識も高まっています。この取り組みが、キビンゴ・ウォッシングステーションがCOEコンペティションなどで高評価を受ける要因となっています。