カヨカミノ農園は、Moplaco社のエレアナ氏が2018年にエチオピア・シェカで新たに開いた農園です。シェカはエチオピア南西部に位置し、カッファの西側に隣接する小さな地域です。(エチオピアの主要なコーヒー生産地として、首都アジスアベバを中心に南西部にはシェカ・カッファ・リム・ジマ、南部にはイルガチェッフェ・シダモ、東部にはハラーがあります。)
農園は標高1900~2100mに広がる150ヘクタールの広大な森の中にあり、森林の生態系を活かしてコーヒーを栽培する「フォレストコーヒー」の形態をとっています。
エチオピアのコーヒーといえば、シダモやイルガチェッフェ、ハラーなどの名高い産地が知られていますが、エレアナ氏があえてシェカに農園を開いたのは、環境問題への意識を高めることが大きな目的の一つだったと言われています。
近年、エチオピアでも温暖化の影響が徐々に顕在化し、コーヒーの栽培適地が年々高地へと移行しつつあります。さらに、牧畜による草地化が進むことで森林が伐採され、生態系にも変化が現れ始めています。
こうした環境の変化に対し、エレアナ氏は強い危機感を抱き、森を守る重要性を地域社会に伝えるため、ガンベラ指定自然保護区の周辺に位置し、自然が良好に保たれているシェカを農園の地に選びました。
その環境の豊かさを象徴するのが、シェカ地区に自生するシダ植物です。エチオピアではかつて多くのシダが自生していましたが、森林破壊の影響で環境に適応できず絶滅していく種も増えています。カヨカミノ農園に今なお残るシダ植物は、原生の森が守られている証であり、この土地の環境問題を示す重要なシグナルであると、エレアナ氏は語っています。
この地域では乾季でも雨が降ることがあり、安定した乾燥工程を確保するために、収穫したコーヒーチェリーは天日干し用のアフリカンベッドと、屋根付きのアフリカンベッドの両方で丁寧に管理されています。さらに、モプラコ社のオフィスから多くのスタッフがこの農園に移り、同社の持つ技術と知識を惜しみなく注ぎ込みながら、農園の成功に向けた取り組みを進めています。
カヨカミノ農園は、モプラコ社の直営プロジェクトとして、森林の保全と高品質なフォレストコーヒーの生産を目指しています。今後は農園内のウェットミルの整備や住環境の改善、さらにゲストハウスの建設など、積極的な発展を計画しているとのことです。