サントゥアリオ農園
サントゥアリオ農園は、コロンビアのカウカ県ポパヤン高原に位置し、プラケ火山(標高4,646m)を望む場所にあります。1999年、農園主のカミーロ・メリサルデ氏は、コロンビアの伝統的なマイルドコーヒーの復活と、持続可能な農業を目指して農園の設立を開始しました。農園では「最高のコロンビアマイルドコーヒー」を目指し、苗木の植え付けから収穫、精製に至るまで、高い品質管理を行うためのマニュアルを策定しました。この結果、サントゥアリオ農園はスペシャルティコーヒーの分野で多くの愛好者から注目を集める存在となりました。
しかし、2009年以降、予期せぬ気候変動によって多雨や日照不足、湿度の上昇といった問題に見舞われ、収穫量が急減しました。投入した肥料も大雨で流されることが多く、コストが増加。さらに、現地の治安悪化も相まって、農園の維持が困難な状況に陥ります。こうした厳しい環境の中でも、生産体制を見直し、管理可能な範囲に栽培面積を縮小。適切な区画と品種の選定を行い、土壌やシェードツリーの保全を徹底しました。その結果、数年をかけて農園は復興し、現在も活動を続けています。この経験から得られたノウハウは、現在の「サンチュアリオ・プロジェクト」の基盤となっています。
サンチュアリオ・プロジェクト
「サンチュアリオ・プロジェクト」は、カミーロ氏がサントゥアリオ農園で培った経験をもとに、高品質で独特なコーヒーを世界各地で生産するための取り組みです。2010年以降の困難な時期を乗り越えた活動を土台に、2017年に本格的にスタートしました。現在、コロンビア、ブラジル、コスタリカ、メキシコ、エチオピア、エルサルバドルの6か国でパートナーと共に、エキゾチックでユニークなコーヒーの生産を目指しています。また、特異な風味を持つ品種の栽培や生産処理の独自理論を駆使し、ミルにさらなる付加価値を提供しています。
カンポ・エルモソ農園
コロンビアのパートナーであるエドゥイン・ノレーニャ氏が運営するカンポ・エルモソ農園では、ティピカ、シドラ、ピンクブルボン、ゲイシャなど様々な品種の生産に加え、2023年には新たな研究開発センターをクインディオ県アルメニアに設立しました。エドウィン氏は生物学の専門知識を活かし、独自の発酵プロセスや生産処理の試験を行い、コーヒーの新たな価値を追求しています。
また、彼らがサンチュアリオ・プロジェクトで試験的に生産しているアジ種は、エチオピア原生の品種の一つです。ウォッシュド工程では、糖度22度以上のチェリーを厳選し、収穫後にチェリーの状態で2時間ソーキング、その後洗浄と浮遊物の除去を行います。さらに、翌日までのドライファーメンテーション、果肉除去・水洗を経て18日間アフリカンベッドで天日乾燥されます。最終的に、乾燥したドライパーチメントはグレインプロに入れて均一な状態に仕上げられます。