タラス地区の中心地、サンマルコスに位置するソリス一家のミルは、コスタリカでもトップクラスのコーヒーを生産しています。
曾祖父のドン・イスマエル・ソリス氏がコーヒー栽培を始め、2013年にその息子で現生産者の父であるドン・オスカル氏がマイクロミルを設立しました。コーヒーの未来を見据え、家族や従業員の生活向上を願って始めたこのミルは、2017年にドン・オスカル氏が亡くなった後、息子のアレハンドロ氏とオラシオ氏が受け継ぎ、父の名を冠した「ドン・オスカル・ミル」を運営しています。彼らは、父の情熱と責任感を継ぎ、品質向上に真摯に取り組んでいます。
**エル・コヨーテ農園**
エル・コヨーテ農園は2016年に新たに購入された土地で、標高2,050メートルとソリス家所有の農地の中でも最も高地に位置しています。この農園は、コヨーテが生息していることにちなんで名付けられ、ビジャロボスやゲイシャ、ティピカなどの希少品種の試験栽培を行っています。日当たりの良い環境で、バナナの木陰の下でじっくりと熟したコーヒーチェリーが育てられています。
収穫は10年以上の経験を持つ熟練のピッカーたちが担当し、完熟したチェリーのみを手摘みしています。コロナ禍でピッカーの確保が困難な時期もありましたが、長年の信頼関係を築いてきたパナマ人のピッカーに依頼できたことで、彼らの収入をサポートできたことに安心したと語っています。
**シドラ種の広がり**
シドラ種はエクアドル発祥の品種で、その普及にはドン・オスカルのコーヒーを輸出するエクスクルーシブ社との関係が深く関わっています。エクアドルでコーヒー業界に危機感を抱いたCafecom社のジョナサン氏は、コスタリカに学びに来て、エクスクルーシブの協力を得てエクアドルにノウハウを持ち帰り、Taza Doradaコンテストを開催しました。このような努力によってエクアドルのコーヒーの品質が向上し、世界的にも高く評価されています。
こうした繋がりから、シドラ種がコスタリカにもたらされ、国内の有名生産者たちによって栽培が始まりました。