明るいレッドアップルから始まる果実感のオンパレード。
パカマラらしい華やかな酸がイエローハニープロセスにより、角が取れたまろやかなカップに仕上がっています。
エージングと共に大きな変化があるため、経過を楽しめるのも魅力です。
※ハニープロセスにより豆表面が色付きやすくなっております。焙煎度表記通りの焙煎プロファイルを取っておりますが、見た目は「中煎り」に近いものになります。
𝙁𝙡𝙖𝙫𝙤𝙪𝙧
レッドアップル、オレンジ、チェリー、ハニー、ブライトマリック、シルキーマウスフィール、ロングアフターテイスト
𝙁𝙖𝙧𝙢 𝙄𝙣𝙙𝙤𝙧𝙢𝙖𝙩𝙞𝙤𝙣
農園名: ロマ・ラ・グロリア農園
生産地: ケサルテペケ、エル・ボケロン
標高: 1450-1600m
栽培品種: パカマラ
精製処理: イエローハニー
グレー:トップスペシャルティ
𝙎𝙏𝙊𝙍𝙔 𝙊𝙁 𝙏𝙃𝙀 𝘾𝙊𝙁𝙁𝙀𝙀
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ロマ・ラ・グロリア農園は、現在のオーナーであるアニー・ルス女史の父、ロベルト氏が1990年代後半に創設されました。この農園の名前は、ロベルト氏の祖父が昔営んでいた農園の名前から取られており、「栄光の丘」という意味を持ちます。
開業後、もともと土木技師だったロベルト氏は、2001年に自らのコーヒーを生産・処理するためのミルの建設を開始しました。しかしながら、中米において「マイクロミル」という概念が一般的になる前は、こうした小規模なミルによるコーヒーの流通を確保するのは難しく、結局は地元の大きなミルにコーヒーを納入せざるを得ず、マイクロミルの設立は実現しませんでした。
風向きが変わったのは2012年でした。アニー女史は、現在の農園主でありながら、それまでマーケティングの仕事に従事しており、コーヒー生産には未経験だったとされています。しかし、彼女は自身の得意分野を活かし、「今、コーヒーマーケットに求められているものは何か」という視点で市場の動向を把握する努力をしました。その中でスペシャルティコーヒーの理念を農園に取り入れ、さまざまなプロセスの改善と品質向上に取り組みました。その結果、自家生産のコーヒーの品質が向上し、自らの手で処理を行うために、ロベルト氏の休眠していたミルが再稼働することになりました。
品質向上への取り組みは、プロセスに限らず農園全体に広がっています。ロマ・ラ・グロリア農園は、サンサルバドル火山近郊に位置し、砂質土壌を持っています。そのため、農園内には雨水を溜めるための多くの堀が整備されており、保水性を高める工夫がなされています。また、農園内のシェードツリーにはさまざまな鳥類が生息し、自然な生態系が築かれています。これらの生態系の豊かさが、土壌内の微生物の活性化や有機的な土壌環境の形成に寄与し、栄養豊かなチェリーの実りをもたらしています。
ロマ・ラ・グロリア農園では、ナチュラルとハニープロセスを主に採用しています。この選択は、農園の立地が水のインフラが整っていないため、生産処理に使用する水を貯水したものから賄っているためです。
フランシスコ・ブレンドでは、このような環境的要因を逆手に取り、レッドハニーとウォッシュドプロセスをブレンドすることで複雑な風味を生み出しました。
一方、イエローハニーは、彼らがスペシャルティコーヒーの生産に取り組む中で最も多くの試行錯誤を行ってきた生産処理方法です。ロマ・ラ・グロリアの土壌で収穫したチェリーの分厚いミューシレージを活用しつつ、乾燥速度に注意を払い、コンクリートパティオとアフリカンベッドを併用してじっくりとスロードライイングを行うことで、4週間かけて丁寧に仕上げています。乾燥初期はサンドライでスピードを速め、糖を結晶化させ、後半にかけて緩やかに乾燥させることで美しいイエローのパーチメントに仕上げられます。レッドハニーの場合は、ミューシレージの発酵により円熟したフレーバーが生まれるのに対し、イエローハニーはより明瞭なフレーバーと透明感のある甘さ、そして特有の質感が感じられると言われています。
ロマ・ラ・グロリアは常にマーケットの求める風味を考慮し続けてきました。異なる生産処理による風味の多様性を追求する姿勢は、多くのコーヒーユーザーの期待に応えたいという彼らのポリシーを感じさせてくれます。