ギャップローストの感想です。少し長くなります。
このコーヒーの味わいは複雑ですが、ブレンドコーヒーのそれとは全く異なるものです。
一つの液体の中に相反するフレーバーが混在しているにも関わらず、それらの全てが「一つのシンプルな輪郭」の中に収まっています。このようなコーヒーは初めて飲みました。革新的な発明だと思います。印象は「混じり気のない液体」でありながら、その深淵には「相反するフレーバーの混在」を感じる事ができる…。頭がクラクラするような、とても衝撃的な味覚体験でした。
不思議な味わいで、全てを言葉で表すのは難しいです。興味があるなら、まずは試してみましょう。味の好みはあるでしょうが、少なくとも知的好奇心は満足できると思います。
豆の使い勝手についても書いておきます。正直言うと、(コーヒー好きとしては嬉しい事なのですが)少し困ってしまいました。
普通のコーヒーであれば、焙煎の深度によって短絡的に最適な温度の目安を設定してしまえるのですが、この焙煎にそういった感覚を持ち込むのはなかなか難しいです。「温度を纏った水」という触媒にコーヒーから成分が浸み出していく…ということを原理的に考えないといけません。
上手に扱えたら、この豆のポテンシャルは無限大です。多分、普通に飲むなら80〜85℃くらいが良さそうですが、自分なりの抽出法を見出すのも楽しいと思います。