サン・ホセ農園は、ニカラグア・ヒノテガ県北部、アパナス湖を望む断崖の上に位置します。道のりは急勾配で、特に雨季の作業は困難を極めますが、その景観は息をのむほど美しく、ここでしか見られない壮大な夕日が広がります。
この環境で育まれるコーヒーは、標高の高さと肥沃な火山灰土壌により、卓越した品質を誇ります。さらに、湖面から反射する光により、日照は早朝5時半から夕方6時半まで確保され、特有のマイクロクライメットを形成しています。風通しもよく雨量にも恵まれ、農園では土壌保護のためにマメ科植物を植え、健全な土壌バランスを維持しているのも特徴です。
イエローパカマラ種の生産
Fincas Mierischは、10の農園で多様な品種を栽培し、伝統的手法から独自のプロセスまで駆使しながら、まるでオーダーメイドのように飲み手の嗜好に合わせたコーヒーを生産しています。
現在では各地で多彩な品種が見られますが、当初は環境適応の検証や風味評価、土壌成分の分析を繰り返し、思うように成長しない試作も多くありました。イエローパカマラも2010年から植え付けが始まり、2013年に初収穫。その後サビ病の被害や世代交代による変異など、安定した生産に至るまでに長い時間を要しました。
いまではサン・ホセ農園の最も標高が高く日照に恵まれた斜面で育ち、大粒でジューシーなイエローパカマラは、パッションフルーツやパイナップルを思わせる爽やかな風味を備え、農園を代表するコーヒーの一つに成長しています。
スペシャルロットの生産処理
サン・ホセ農園で収穫されたコーヒーは、すべてウェットプロセスを経て「ドン・エステバン」ドライミルに運ばれ、乾燥工程へと進みます。中でもスペシャルティマイクロロットは、極めて丁寧かつ時間をかけたプロセスで仕上げられます。
収穫は早朝から始まり、農園内でチェリーをハンドピックで再選別。夕方には農園下のウェットミルに運び込まれ、すぐに果肉除去と発酵槽での発酵が行われます。夜間から漬け込むことで、ミューシレージのリスクを抑えながら36時間前後の発酵を経て、水洗しウェットパーチメントに仕上げます。
その後は10〜12日かけて乾燥工程へ。まず天日で水分値20%まで乾燥させますが、過度な日差しで豆に隙間が生じないよう、黒いビニールで日陰を作りながら調整します。その後、ビニールハウス内の二段棚に移し、上段から下段へと移動させながら仕上げ乾燥を行います。乾燥中は1日4回攪拌し、ムラのない均一な水分値を目指して丁寧に管理されています。