ペルー北部、カハマルカ県のサン・イグナシオ地区。山あいの小さな町ラ・コイパに、「La Solidaria(ラ・ソリダリア)」という名前の農園があります。標高はおよそ1,900メートル。朝晩は霧に包まれ、空気はひんやりと澄んでいて、コーヒー栽培にとって申し分のない環境です。
この農園を営むのが、コーヒー生産者のアガピート・ラモスさん。長年にわたりこの土地と向き合い、自然のリズムを尊重しながら、丁寧な栽培と精選を重ねてきました。派手な自己表現よりも、確かな仕事を積み重ねる姿勢が印象的な生産者です。
「La Solidaria」という農園名は、スペイン語で“連帯”や“思いやり”を意味する言葉。アガピートさんの人柄や、家族や地域と協力して農園を守り続けている姿勢をそのまま映しているように感じられます。
収穫の時期になると、実の熟し具合を目で見て確かめながら、手作業で丁寧に収穫していく。水洗処理も時間をかけて、発酵と乾燥のタイミングを細かく見極める。その積み重ねが、繊細で奥行きのある味わいにつながっています。
情報の少ない生産者ではありますが、それがむしろ魅力でもあります。たくさんを語らなくても、カップの中でしっかりと伝わってくるものがある。そんな風に思わせてくれるコーヒーです。