ラパスのコーヒー文化と進化する生産技術
ホンジュラスのラパス県は、国内有数のコーヒー生産地として知られています。しかし、長年そのコーヒーは「マルカラ」ブランドとして扱われ、ラパスの生産者たちは収穫したチェリーを片道2時間かけてマルカラへ運んでいました。現在、スペシャルティコーヒー市場の成長により、ラパス特有の土壌や気候に注目が集まり、この地域独自のコーヒーが評価され始めています。
テパングアレ農園とブルボン種への想い
ラパスに位置するテパングアレ農園は、太平洋と大西洋からの風が交差する特殊な気候条件を持つ山頂にあります。この農園のアベル・メヒア氏は、祖父母から受け継いだブルボン種を大切に守り育てています。樹齢の古いブルボン種からは、均一に真紅に熟したチェリーが収穫され、品種特有のエキゾチックなアフターテイストを生み出しています。
また、アベル氏は近隣の農家とも協力し、ウェットミルを持たない農園のチェリー処理を代行。丁寧な作業によって高品質な生豆を生産し、地域の信頼を集めています。
挑戦するアナエロビックプロセス
近年、アベル氏は新たな挑戦として嫌気性発酵(アナエロビックプロセス)に取り組んでいます。このプロセスでは、収穫したチェリーを密閉タンクで24時間発酵させた後、果肉を除去しさらに48時間発酵。その後、約3週間かけて乾燥させます。この独自の手法により、通常の処理方法では得られない妖艶なフレーバーを実現しました。
アベル・メヒア氏の情熱と技術革新は、ラパスのコーヒーを世界に届ける原動力となっています。