コスタリカのコーヒーは、現在全生産量の約半分がスペシャルティコーヒーとして市場に供給されています。1992年以降、法律によってアラビカ種のみの栽培が認められ、カネフォラ種の栽培は禁止されました。当時、コーヒーのチェリーの買取価格や収穫作業を行う労働者の待遇は恵まれたものではありませんでした。この状況を改善するために生まれたのが「マイクロミル」です。
マイクロミルは、家族や親族、グループで小規模なウェットミルを設立し、コーヒーの栽培から水洗処理、乾燥までを一貫して管理する方式です。この考え方は2000年代初頭に広まり、高品質なコーヒーをより高価格で販売することを目指しました。従来の大規模ミルでは見られなかったハニープロセスやアナエロビックプロセスといった新しい加工方法も、こうしたマイクロミルで取り組まれるようになり、徐々に消費国にも広がっていきました。
ドン・ホエル農園
ドン・ホエル農園のマイクロミルは、2011年に設立されました。名前の由来は、創設者アラン・オビエド氏の父、Juelio氏のニックネーム「Joel」にちなんでいます。農園の面積は10ヘクタールで、マイクロミル設立から3年後の2014/2015シーズンには、生産量が15トンを超えました。
このコーヒーは、ウェストバレーのサン・ルイス・デ・グレシア特有の気候によって、その独自のキャラクターが形成されます。農園主のアラン氏は、日々品質向上に努めており、ドン・ホエル農園はアラン氏とその妻、そして息子の3人で主に運営されています。収穫期には家族総出で作業を行い、より良い品質のコーヒーを生産するために情熱を持ってさまざまな取り組みを行っています。
農園では新しいプロセスを学び、新しい品種に挑戦し、土壌の改善と保全にも力を入れています。こうして高品質なコーヒーをクライアントに提供しています。今回のケニア品種は2014年に植えられ、樹齢8年の木からは安定した収穫量と素晴らしい品質のコーヒーが得られています。
アラン氏は、「コスタリカのコーヒーを応援していただき、ありがとうございます」と感謝の気持ちを述べています。
SL28 - San Roque品種
SL28はケニアの品種として広く知られていますが、中米コスタリカに持ち込まれたのは21世紀初頭のことです。スターバックスがコスタリカのウエストバレーの生産者にこの品種を提供したことが始まりです。San Roque(サンロケ)とは、SL28の一種に対する通称としてコスタリカで広く知られています。
2015年には、Leoncio農園のSL28品種がカップ・オブ・エクセレンス(COE)で優勝し、ゲイシャに次ぐ高級品種として中米各国に広まりつつあります。ドン・ホエル農園もこのケニア種を2022年のカップ・オブ・エクセレンスに出品し、見事15位に入賞しました。ケニア品種を用いて第一線で活躍する生産者として、その匠の技を実践し続けています。