ケニアはコーヒー誕生の地とされるエチオピアに隣接していながら、コーヒー豆の栽培が始まったのは19世紀末とされています。コーヒー生産の歴史は比較的浅いですが、ケニアの理想的な環境で生まれるコーヒーは、その複雑で豊かな風味により世界中で高く評価されています。現在、ケニアはアフリカのコーヒー産業をリードし、発展を続けています。
1987/88年には生産量が215万袋でピークを迎えましたが、それ以降は減少し、近年では約70-80万袋の生産量となっています。この量は多くはありませんが、コーヒー産業の輸出額は全体の約5%を占めています。
現在、ケニア国内のコーヒー生産面積は約160万ヘクタールで、その2/3は小規模生産者によるものです。約70万人の生産者が従事しており、多くは国内に約600あるとされる農協団体に所属しています。これらの農協は複数のファクトリーを運営し、地域の小規模生産者はそのファクトリーにコーヒーチェリーを納入しています。
バリチュ生産者組合
カリンドゥンドゥ・ファクトリーは、1985年にマシラ生産者組合のもとで設立され、1996年からバリチュ生産者組合の傘下に属しています。バリチュ生産者組合はマシラ郡にあり、カリンドゥンドゥの他にカラティナ、ガトンボヤ、ガトゥリリの計4つのファクトリーを運営しています。この組合は生産者への支援を積極的に行っており、学費や農産物への投資、緊急時の資金援助などを提供しています。また、農業研修や施肥の支援も行っています。
このような支援活動により、バリチュ生産者組合の各ファクトリーでは毎年安定した収量と高い品質が維持されています。バリチュのコーヒーは、ニエリ地区でも優れた品質として世界中で知られています。
カリンドゥンドゥ・ファクトリー
カリンドゥンドゥ・ファクトリーは、北東に位置するマウント・ケニアと西のアバーデアの尾根にあり、火山性の肥沃な赤土土壌に恵まれています。この地域で栽培されるコーヒーは、明るい酸味や豊かなボディ、カシスのような風味が高く評価されています。
現在、カリンドゥンドゥ・ファクトリーは周辺の5つの村に住む520名の生産者に利用されています。人の手で一つ一つ丁寧に収穫されたコーヒーチェリーは、この工場でパルピング、水洗処理、乾燥の工程を経ます。パルピング用の水は近隣を流れるタガティ川から電動ポンプを使用して汲み上げ、リサイクル可能な設備の下で使用されています。工場には4つのパルパーと5つのソーキングプールがあり、これらで水洗処理が行われます。
近隣の農家はコーヒー以外にも、お茶、トウモロコシ、バナナ、園芸用植物などを育てています。また、ユーカリやマカダミアの木をシェードツリーとして利用しながら、コーヒーの生産を行っています。メインの収穫期は10月から1月で、各農家は育てている約200本のコーヒーの木に実るチェリーの熟度を見極めながら、丁寧にハンドピックし、ファクトリーに持ち込んでいます。